名古屋高等裁判所 昭和25年(う)1930号 判決
原判決が認定した事実の要旨は所論の如く「被告人は法定の除外事由がないのに、同人所有の農地を同農地が居村農地委員会のたてた買収計画に基き一旦政府に買収せられ更に政府より買受人(小作人)に売渡す行政上の手続を経由して開放するに際し、当該農地の地租法又は土地台帳法に依る賃貸価格に農林大臣の定めた率を乗じて算出した金額を超過して判示((1)乃至(7))の如く判示小作人等より夫々判示農地につき判示金員を受領した」というのであることは判文上明らかである。
而して農地調整法第六条ノ二は農地の価格につきその農地の私法上の売買、譲渡による所有権の移転に際し同条所定の額(以下公定価格と称する)を超えてこれを契約し、支払い又は受領する場合は勿論のこと、右原判決の如く自作農創設特別措置法に基き行政上の手続行為による所有権の移転にあたりこれに便乗附随して右公定価格を超えた金銭を受領する場合にもその適用あるものと解するを相当とし、右の規定を所論の如き場合に限るべき理由ないものというべく、そして右原判示の事実は後記の如くすべてこれを認め得るので、被告人の所為は農地調整法第六条ノ二第十七条ノ四に該当する罪を構成するものとなすべく、各所論はすべて右と異なる見解によつてなされる解釈、立論であつて到底採ることを得ないので、この点に関する論旨はいずれも理由がない。